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---- まず、今回の作品を制作された野依さんは「飾り金具師」ということですが、具体的にはどんなお仕事をされているのでしょうか?また、どんな経緯でこの世界へ入られたのでしょうか?
野依 克彦
Katsuhiko Noyori
水野 誠子
Seiko Mizuno
野依:

「神社寺院などで使われる仏具や、寺院の屋根など建造物に取り付けられている装飾金具などを作っています。銅板などに、大小様々な「たがね」を使って模様を彫っていきます。もともと私の母の実家が、代々飾り金具を作っていて、そこで私の父が修行をして独立し、現在の会社を立ち上げました。自宅が仕事場でもあったため、子供の頃からその姿を見て育ち、大学卒業後に職人として跡を継ぎました。」

---- 野依さんと共同制作された水野さんは、ジュエリーや金属のクラフトデザインの分野で活躍されていますが、「飾り金具師」という存在はご存じでしたか?

水野:

「ある程度は知っていました。でも、この名古屋にこんな素晴しい技術を持つ職人さんがいらっしゃることは知りませんでした。実際に野依さんが彫られたいろいろな作品を見た時には、長い伝統に培われた技術と美しい模様に深く感動しました。」

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最初にこの企画が持ち上がった時、どう思われましたか? 装飾品
野依: 「名古屋は京都と並ぶぐらい多くの寺院があり、私が住んでいる中区上前津付近は特に多く、その周りには昔からたくさんの仏具職人が住んでいたそうです。今ではその数も減少していますが、それでも私のように家業を継いで職人になった人もたくさんいます。私のような飾り金具師もいれば、漆師、彫師など様々ですが、そういった若手の職人たちが集まり「名古屋仏具研究会」を作り、これから仏具をどのように発展させていくかを模索していたんです。だから、この企画は良い機会だと思いました。でも、まさかアクセサリーを作るとは思っていませんでしたが…(笑)」

水野:

「私は最初に野依さんの手作業の技術を見て、正直言って「スゴイ!!」と思いました。私たちジュエリーデザイナーは同じ金属を扱っているけれど、ここまでの技術を持つ人はなかなか居ません。例えば、昔から仏具などの背景を埋める細かい模様「魚々子(ななこ)」と言われる技法。これは「たがね」という道具を使って、文字通り魚の卵のように細かい点を刻んでいくのですが、これがまるで機械を使ったかのように細密で正確!まさに職人技です。」
---- その職人技をアクセサリーの世界に取り入れてみようと思われたんですね?

水野:

「そうです。お寺の装飾金具には、一般の装飾にはない伝統に培われた美しさがあります。もちろん高い技術が要求される大変なお仕事です。でも、私はこの一流の技術や魅力的な模様を、一般の人たちにも「もっと知ってほしい!見てほしい!そして手にして欲しい!」と思ったんです。だって、お寺の装飾だけに使うのはもったいないじゃないですか。私たち一般の人間は、仏具を欲しいとは思わないでしょ?(笑)でも、これがアクセサリーだったら、私は絶対に手に入れたいと思ったんです。」

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実際に水野さんからデザイン画を受け取った時、どう思われましたか?
野依: 「これまでにも仏具以外のモノを作ってみようと思い、いろいろと挑戦してきましたが、どうしても“デザインをする”となると難しかったんです。でも、水野さんのデザインは、現代的なデザインにも関わらず、そこに使われているのは「すかし」「魚々子(ななこ)」などの技法と「唐草」「巴(ともえ)」などの模様を上手くミックスさせたもの。つまり私がこれまでにやってきたことを応用したものでした。だから、とても取り組みやすかったですね。」

水野:

「実のところ、私はデザインをする段階で「(野依さんは)こんなことまでやってくれるかしら?」なんてちょっと不安だったんですよ。だって、とても手間のかかるデザインでしたから…。でも、実際に作品が完成したら、そんな不安も吹き飛びました!職人技って、やっぱりスゴイ!と改めて感じました。作品はどれも大成功でしたね。」

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では、最後に今後の展望を教えてください。 装飾品
▲お寺などの建造物や調度品を彩る、美しい飾り金具たち。

水野:

「最近は若い人も含めて、日本の伝統的なデザインに人気がありますし、昔ながらの技術や模様ってとても新鮮で、まだまだいろいろな可能性が秘められていると思います。」

野依:

「そうですね。伝統技術を現代に生かすことは、飾り金具師だけに限らず、これからの職人には必要だと思います。こういった新しい企画を通して業界に新しい風を吹き込んでいけば、仏具業界全体が活性化し、それが伝統技術の継承にもつながるのだと思います。これからも様々な作品に挑戦していきたいですね。」

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ありがとうございました。
水野 誠子(Seiko Mizuno):
1992年名古屋市有松、鳴海で開催された「国際絞り会議」アドバイザー。以来絞りデザインにたづさわる
ギリシャ悲劇、絞りによる衣装デザイン3回
1992年イタリア、コモ(絞り展示)1995EUジャパンフェスト(絞りファッションショー)企画スタッフ
他、クラフトデザイナーとして日本、オーストラリア、アメリカ等で展覧会出品。
●(社)日本クラフトデザイン協会会員 (社)日本ジュウリーデザイナー協会会員
●(社)日本インダストリアルデザイナー協会中部ブロック事務局
野依 克彦(Katsuhiko Noyori):
1966年2月18日名古屋市中区に生まれる。1988年中京大学体育学部卒業後、家業の野依神仏錺金具店(現 有限会社ノヨリ)を継いで、父より錺金具を学ぶ。伝統工芸の手作りの良さを追求すると共に、CADや彫刻機など先端の技術も取り入れ完成度の高い商品を目指す。
また金工や七宝焼きなど仏具錺金具以外の技術も学び幅広い作品作りにも挑戦している。名古屋仏具研究会を立ち上げ技術の向上、技術の継承、展示会等を通じ、一般の人に仏具作りへの関心を高めて頂くように努めている。

仏具について、もっと詳しくお知りになりたい方はhttp://noyori.main.jpをご覧下さい。
 
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