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まず、常滑焼にはどんな特徴があるのでしょうか? |

Haruhiko Ito
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Koji Yamamoto
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| 伊藤: |
「常滑は日本六古窯(常滑・瀬戸・信楽・丹波・備前・越前)の一つです。代表的な製品というと、カメや焼酎瓶などの他、土管や瓦、タイルなど、芸術品というよりはむしろ実用品が多いですね。」
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山本:
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「有田焼や九谷焼などとは対照的で、一点ものを作るのではなく、最初から型を作って大量生産をすることを目的としていますからね。」 |
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伊藤:
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「というのも、三河地方には“実用品を大量に作る”という風土があるんです。もともと焼き物文化は建築文化とともに、奈良から全国各地に伝えられたわけですが、長い年月の間に様々なカタチに変化を遂げ、最終的にはその土地土地に合ったものが生き残った。つまり、この三河地方の土地柄に合ったカタチというのが“実用品としての焼き物”ということなんです。」 |
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“実用的”というのは、常滑焼の魅力と言えるのでしょうか? |
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伊藤:
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「もちろん!芸術品としての焼き物はごく一部の限られた人の楽しみですが、逆に常滑焼はたくさんの人が肩ひじ張らずにつき合える焼き物です。この地方は、たくさんの人が幸せになれるものを作るのが大好きな土地なんですよ。」 |
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お二人のつきあいは5年程前からだそうですね。 |
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伊藤:
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「実は5年程前に、常滑焼組合の100周年事業の計画があって、私もデザイナーとして参加したんです。でもその時にふと感じたんです。『これまでの100年を振り返るのもいいけれど、これから100年をどう生きていくかが大切なんじゃないか?』と。それで出席者の方々にそう言ったら、場がシ〜ンと静まりかえってしまいましてね(笑)」 |
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山本:
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「ずばり痛いところを突かれたなぁと思いました。それで、組合員である窯屋さんを集めて、伊藤さんに“ものづくりに対する考え方”を講議してもらうことになったわけです。」 |
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デザイン指導ではないんですか? |
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伊藤:
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「私はデザインだけを提供するのは嫌だったんです。なぜなら、そうすると私が去った後には何も残りませんから、あくまでも自分で考えて自分で作ってくださいと言っています。」 |
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山本:
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「確かにデザイナーに図面を書いてもらっても、それを100年間売り続けることはできませんからね。伊藤さんから学んだのは、機能とカタチについて。つまり、ものづくりに対する考え方なんです。」 |
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そしてこの5年の間に生まれたのが今回の作品ということですが、例えば“レトロ瓶”はどんな発想から生まれたのでしょうか? |
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山本:
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「私は常滑焼を生産している(有)山文製陶所の6代目ですが、ガラス容器が少なかった戦前や戦時中には、一斗(18L)サイズの焼酎瓶を様々な工場へ容器として大量に収めていました。その昔ながらの焼酎瓶を家庭用の小さなサイズにし、木製コックを取り付けて使いやすくしたのがこのレトロ瓶です。今はビールサーバーが普及していますから、ならば自分で注いで飲めるお酒用のサーバーがあってもイイのではないかと思い、すぐに製作に取りかかりました。私自身お酒が大好きですから(笑)」 |
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少し歪みのあるフォルムが面白いですね。 |
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山本:
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「陶器は焼き過ぎるとへたってしまいます。昔は不良品とされていましたが、そのユニークなカタチは今の時代にはかえって“イイ味”になるのではないかと思い、原型からへたりのあるデザインにしてみました。私はこの瓶のようにざくっとした味わいのある表情が常滑焼の魅力の一つだと思っています。」 |
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でも、今回のもう一方の作品、“テーブルグリーン”の鉢は、レトロ瓶とは全く違うイメージですね。 |
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伊藤:
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「私が提案したのは、“食器のような雰囲気の植木鉢”。というのは、これまでの常滑焼の植木鉢は土っぽくて、テーブルで楽しむという雰囲気ではありませんでしたから…。」 |
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山本:
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「テーブルで楽しむことを念頭に置いて、粘土に顔料を混ぜて透明の釉薬をかけ、光沢を出してカラフルにしています。今回は鉢と植物もセットにして販売しますが、使用している土も、焼き物のチップなんです。」 |
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伊藤:
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「この焼き物チップは保水性に優れているので、小さな植木鉢でも水やりをこまめにしなくても大丈夫ですし、何よりも清潔感がありますよね。」 |
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では最後に、今後の展望を教えてください。 |
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伊藤:
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「昔ながらの技術や伝統を生かしながら、でもそれだけにとらわれることなく、“新しい常滑焼の可能性”を追求していってもらいたいと思います。」 |
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山本:
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「現在、常滑焼の製作段階で出る廃棄物処理品を材料にした瓦や植木鉢など、エコロジカルな製品を企画中で、近々製品化も予定しています。また、今回の“レトロ瓶”に続くお酒関連グッズも企画していきたいと思っています。」 |
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どうもありがとうございました。 |
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伊藤 晴彦(Haruhiko Ito):
1940年大阪府豊中市生まれ。40年間自動車関連の工業デザインを専門に手掛けた後、地場産業や地域おこしなどのアドバイスを積極的に行う。現在はデザインだけに留まらず、環境と福祉をテーマに様々な活動を行うと同時に、子供たちにカヌーやおもちゃづくりなどを通して“遊ぶこと”の大切さを伝えている。
愛知県技術指導員/ワールド絞りネットワーク副幹事長/(財)吉田町地域振興事業団アドバイザー/(協)愛知デザインユニオン理事/元橦木館店子代表 |
山本 幸治(Koji Yamamoto):
1955年常滑生まれ。工業化学科卒業。プロダイバーとしてアラビア石油メンテナンスダイバーなど2年間を過ごし、(有)山文製陶所に入社。地元の公民館、青年会議所、商工会議所、焼物組合などで活動。
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